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  • 執筆者の写真就労移行支援ひかり

発達障害が感じる「生きにくさ」を減らすひと工夫

発達障害とは?

発達障害とは、脳が発達していく途上に生じた高次の脳機能障害と考えられています。その代表的疾患である自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害は、最近では、同じ障害で程度が異なるものと考えられるようになり、自閉症スペクトラム障害と呼ばれる事が増えてきました。

自閉症スペクトラム障害では

①社会的コミュニケーションと対人相互反応の障害

②行動、興味及び活動の限局された反復様式

の、2つが特徴といわれています。

また、「不注意」「多動性」「衝動性」などの症状が現れるADHD(多動性障害)は、脳の発達に偏りがあり「できる事・できない事」の差が大きく、脳の発達に凹凸がある「発達アンバランス症候群」と考えると理解しやすいとされています。

もともとは子供の病気と考えられていましたが、現在では成人にもみられる事がわかっています。


ADHD

 

「発達障害」を理解し、治療する

発達障害は治療することができます。脳に起きている機能障害そのものは、残念ながら治すことはできません。しかし、カウンセリング、薬物療法、生活スキルの改善、行動パターンのゆがみや、認知の偏りの矯正などの治療をおこなう事で、発達障害の人が抱える困難を軽くすることはできます。それによって社会人として、問題なく生活する事ができるようになります。

発達障害の治療は本人が自分の病気について知り、それを認めるところからはじまります。

心理教育・環境調整法により、発達障害の本当の原因を理解し、性格や心の問題ではなく、育った家庭環境の問題だけでもないという事を理解することで、気持ちが楽になり治療に対して前向きになれます。

薬物療法は発達障害の治療に非常に効果的です。あくまでも症状を抑える対処療法ですが、薬を使うことで、脳の機能回復が大幅に進み、衝動的行動、多動、感情の変わりやすさ、不注意、ストレス耐性の低さなどの症状が改善します。

薬物療法と並んで大切な治療が、心理療法(カウンセリング)や認知行動療法です。

心理療法では、発達障害の診断にともなう気持ちを整理し、自分の抱えている問題を整理します。また、状況に合わせた適切な行動を理解したり、社会スキルを学習したりします。治療を受ける人が悲観的にならず、将来に希望を持てるように促します。

そして、私たちも日々行っている、認知行動療法では、人が誰でも持っている「考え方の枠組み」の歪みを修正します。すべてを悲観的に考エルヴィン「マイナス思考」や、ささいなことを極端に一般化して考エルヴィン「過度の一般化」など、認知の歪みを正すことで、かたよった思考回路から抜け出すようにうながします。


 

「生きにくさ」を減らすためにできること

発達障害の人は、脳機能のアンバランスによって、不注意によるミスが多かったり、他者とのコミュニケーションがうまくいかなかったりします。場合によっては粗暴な振る舞いを行い、トラブルを引き起こす事もあります。周囲の人から「困った人」と思われてしまうことも少なくありません。発達障害の人が社会に受け入れられるためには、本人が自分の症状を理解し、適切な治療を受けることに加えて、周囲のサポートが欠かせません。

また、仕事を選ぶ事は大切です。発達障害の人は、得意な事・不得意な事がはっきりしています。たとえば、ADHDの人は忘れっぽく、じっとしているのが苦手ですが、変化を好み、専門的な知識を身に付けることは得意です。アスペルガー症候群の人は、人と関わることや柔軟に対処することが苦手ですが、独創的で、斬新なアイディアがひらめきます。

その人に合った適切な仕事を選ぶことが重要です。不向きな仕事に就くと、さまざまな問題が発生し、仕事が続けられず、うつ病などの二次障害を引き起こす危険性もあります。

仕事を選択するときは、仕事内容をよく調べ、自分の得意なことや能力が生かせる仕事に就く事が大切です。


 

本人の「ひと工夫」と周囲の「サポート」

発達障害の人は周囲のサポートがあれば治療効果があがり、多くの場合は苦労しながらも問題なく暮らせるようになります。しかし、周囲が無理解だと、発達障害の人は劣等感を感じたり、疎外感や絶望感にとらわれてしまいます。

発達障害の人が直面しやすい「困った」は、本人の「ひと工夫」と周囲の「サポート」によって、「トラブル」の頻度と「生きにくさ」を軽減できる場合が多くあります。


ひと工夫

 

①時間が守れない

仕事の優先順位を考えるのが不得意な発達障害の人は、仕事や日常のスケジュールを立てるのが苦手です。目についたもの、興味のあるものから手をつけてしまい、大事な仕事や予定が後回しになってしまいやすいのです。


 

②忘れ物が多い

発達障害の人は、前頭葉や前頭前野に機能障害が見られます。この部分は記憶にも関連しているため、記憶障害が起こる場合があり、忘れ物などにつながってしまいます。



 

③ソワソワして落ち着かない

発達障害の人は仕事や作業に集中でいないことが多いのですが、それには理由があります。ひとつは周囲からの刺激に対して敏感すぎるためです。周りの音が気になったり、室内の様子が気になったりすると集中できません。もうひとつは、自分の世界にトリップしてしまうことがあるためです。とくに興味のない作業だと、そのような事が多くあります。


 

④片付けられない

部屋や机の上が散らかり放題になり、物があふれてしまう…これは、物を捨てられないことが、ひとつの原因になっています。周囲の人には価値がないように見えても、本人には捨てる決心がつかず、どんどん物が増えてしまいます。また、集中することが苦手なため、片付けている途中で関心が他に移ってしまうことも、片付かない大きな原因です。こうして部屋が散らかってしまうと、どこから手をつけていいのかわからなくなってしまいます。

 

⑤ストレスに弱い

ストレス耐性が低いため、すぐにイライラしがち。仕事などで初対面の人に会うときなどだけでなく、親しい家族や友人といることもストレスになってしまう場合があります。


 

⑥人を怒らせてしまう

共感性の欠如によって、相手の気持ちを考えずに自分の言いたいことだけを言いつづけたり、相手の立場によって話し方を変えたりすることが苦手なため、トラブルに発展してしまう場合が多くあります。



 

⑦攻撃的になる

発達障害の人は、自分の感情をコントロールするのが苦手です。また、ストレス耐性が低いため、想定していたことと違うことが起きるなど、たいしたことがないストレスでも、それに耐えられなくなってしまいます。そのようなとき、発達障害の人は、突然イライラして攻撃的になることがあります。周囲の人も感情的になって対応しても、よい結果には結び付きません。本人が落ち着くまで、周囲の人は放っておくほうが良いでしょう。


 

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